
シャルル・ペローより
むかし、ある裕福な男がおりました。
広大な屋敷、金銀の食器、刺繍を施した天蓋つきの馬車——何ひとつ不足のない暮らしでした。けれどもこの男には、見る者すべてを怯えさせる奇妙な特徴がありました。
顎を覆う髭が、深い藍色をしていたのです。人々は彼を「青ひげ」と呼びました。
青ひげはこれまでに何度も妻を娶りましたが、そのいずれもが行方知れずになっていました。前の妻たちがどこへ消えたのか——誰も知らず、誰も問おうとはしませんでした。
富というものには、沈黙を買う力があるのです。

やがて青ひげは、近隣に住む貴婦人のふたりの娘に目をつけました。姉妹のどちらでもよいから嫁にほしいと申し出たのです。
姉も妹も、あの青い髭の男の妻になるなど御免だと思いました。けれど青ひげは狡猾でした。姉妹と母を自分の別邸に招き、八日間にわたって絢爛たる宴を催したのです。
舞踏会、狩猟、美食——朝から晩まで歓楽が続きました。
八日目には、妹の心はすっかり変わっていました。
——あの髭も、よく見ればそれほど青くはないではないか。それに、あの方はなんと紳士的で、なんと物知りなのだろう。
妹は青ひげの妻になりました。
華やかな婚礼でした。薔薇の花弁が石畳に降り注ぎ、聖堂の鐘が鳴り響きました。けれどその鐘の音を、祝福と聞いた者と、弔鐘と聞いた者がいたといいます。
結婚からひと月ほど経ったある日、青ひげは妻にこう告げました。
「遠方へ旅に出なければならない。六週間は戻れまい」
そう言って、屋敷じゅうの鍵を束にして差し出しました。銀の食器棚、宝石箱、金庫——すべての部屋を自由に使ってよいと。
「ただし」
青ひげは最も小さな鍵をつまみ上げました。
「一階の奥にある小部屋だけは、決して開けてはなりません。もし開けたなら——我が怒りに限りはないものと思いなさい」
青ひげが旅立つと、妻は友人たちを招き、屋敷のあらゆる部屋を見せて回りました。
絹の帳に包まれた寝室、天井画の広間、鏡の間——どれもが溜息が出るほど美しいものでした。友人たちは妻の幸運を羨み、はしゃぎました。
けれど妻の心は、ここにはありませんでした。
あの小さな鍵が、ずっと掌の中で熱を帯びているのです。
妻は友人たちを残し、ひとり奥の回廊を駆けました。
禁じられた部屋の前に立つと、手が震えました。夫の言葉が耳に蘇ります。それでも——知りたいという衝動は、恐怖よりも強かったのです。
鍵を差し込み、ゆっくりと回しました。
扉が開きました。

最初、何も見えませんでした。窓に鎧戸が下ろされ、闇が澱のように淀んでいたのです。
やがて目が慣れると——床が赤黒く光っていることに気づきました。血でした。凝固した血の上に、壁に沿って女たちの亡骸が並んでいました。
青ひげの、前の妻たちでした。

妻は悲鳴を飲み込みました。鍵が手から滑り落ち、血の溜まりの中に落ちました。
震える手で拾い上げ、部屋を飛び出し、必死に鍵を拭きました。けれど血は落ちません。片面を拭けば反対側に滲み、磨けば磨くほど赤い染みは深くなるのです。
この鍵には魔法がかかっていたのでした。
翌日——予定より遥かに早く、青ひげが帰ってきました。
妻は笑顔で迎え、旅の無事を喜ぶふりをしました。けれど青ひげは穏やかに言いました。
「鍵を返してもらおう」
妻はほかの鍵をすべて渡しました。青ひげは数え、静かに尋ねました。
「あの小さな鍵は?」
妻は引き出しに忘れてきたと言い、取りに行くふりをし、また別の鍵を差し出しました。けれど何度誤魔化しても、最後には血の染みのついた鍵を渡さなければなりませんでした。
青ひげはそれを一瞥し、氷のように言いました。
「なぜ血がついている」
「わかりません」
「わからぬか。ならば私が教えよう——おまえはあの部屋に入ったのだ。よかろう、おまえもあの女たちの隣に並ぶがよい」
妻は膝をつき、涙ながらに懇願しました。
「どうか、祈りの時間をください。ほんの少しだけ」
青ひげは七分だけ猶予を与えました。妻は塔の上にいる姉のもとへ駆け上がりました。
「姉さん、壁の上に登って見てちょうだい。兄さんたちが来るはずなの。見えたら早く来てと合図して」
姉は壁に登りました。妻は何度も叫びました。
「姉さん、何か見える?」
「何も。太陽が埃を光らせ、草が青く揺れているだけ」

「降りてこい!」
青ひげの怒号が屋敷に轟きました。妻は震えながら、もう一度姉に尋ねます。
「姉さん、何か見える?」
「……見える! 砂埃が——騎兵がこちらへ向かってくる!」
姉妹の二人の兄——ひとりは竜騎兵、ひとりは銃騎兵——が、ちょうどこの日、妹を訪ねてくる約束だったのです。
青ひげが妻の髪を掴み、刃を振り上げたその刹那——扉が蹴り破られました。
二人の兄が剣を抜いて飛び込み、青ひげに斬りかかりました。青ひげは逃げようとしましたが、兄たちに追いつかれ、その場で息絶えました。
妻は石のように動けず、長い間、床にうずくまったままでした。
青ひげには世継ぎがなく、遺産はすべて妻のものになりました。
妻はその財をもって、兄たちに隊長の位を買い、姉に持参金をつけて嫁がせ、自らもやがて、心から愛してくれる誠実な男と再婚しました。
あの小部屋で見たものの記憶は、長い歳月のなかで薄れていきました——けれど完全に消えることは、ついにありませんでした。
おしまい
——物語の奥にあるもの
ペローが一六九七年に書いた「青ひげ」は、パンドラの箱の変奏です。「開けてはならない」という禁忌と、それを破らずにはいられない人間の本性——物語はこの古い構図を、婚姻という密室のなかに閉じ込めました。禁じられた小部屋は妻の想像力を試す装置であると同時に、夫が秘密を管理するための権力装置でもあります。「知るな」という命令は、知識そのものを暴力で囲い込む行為にほかなりません。
血に染まった鍵は、この物語で最も精巧な比喩です。鍵は知ってしまった事実の象徴であり、拭いても落ちない血は、一度得た知識を「知らなかった状態」に戻すことの不可能性を物語っています。罪の痕跡は隠せない——これはキリスト教的罪の意識であると同時に、秘密の本質についての洞察でもあります。
フェミニズム批評は、妻の好奇心をめぐって長く議論を重ねてきました。ペロー自身は物語の教訓として「好奇心は身を滅ぼす」と書きましたが、現代の読者にとって妻の行為は無謀ではなく覚醒です。禁じられた扉を開けたからこそ、彼女は夫の正体を知り、生き延びることができたのですから。従順であれば殺されなかったのか。いいえ——前の妻たちも、やはりあの部屋を開けたのです。好奇心は罠ではなく試金石であり、青ひげは最初から殺すつもりだったのかもしれません。
歴史はこの物語に暗い注釈を添えます。青ひげのモデルとされるジル・ド・レは、ジャンヌ・ダルクの戦友であり、百人を超える子どもを殺害した十五世紀の貴族でした。富と地位が凶行を長年隠蔽し得たという事実は、物語の核心——閉ざされた扉の向こうで何が行われていても、権力がそれを覆い隠す——と正確に重なります。
あなたの人生に、血の染みのついた鍵はあるでしょうか。知ってしまったがゆえに元には戻れない、あの瞬間の記憶は。